AI Overviewは語順で推薦するブランドを決めるのか?102件のクエリで検証した

重要なポイント

比較クエリで先に書いたブランドが最大80%の確率で推薦される、という説が検索チームの間で広がっています。16組のブランド、102件のクエリで検証したところ、語順で回答は変わりませんでした。実際に回答を動かしたのは別の要因です。

今月、検索チームの間で、極めて断定的な数字を伴う説が広まっています。比較クエリでブランドAを先に書けば、GoogleのAI Overviewはおよそ80%の確率でブランドAを推薦する。順序を逆にすれば、推薦も逆になる。規模の大きいブランドが先に書かれていても関係ない、というものです。

魅力的な話です。AI回答を追いかけている人なら誰でも見ている現象を説明してくれるからです。比較クエリの回答は検索結果一覧とは似ても似つかず、しかもGoogleの外にいる者には、その組み立て方を覗く手段がありません。そこで、地味なことをしました。検証したのです。2026年9月11日、私たちは実際に稼働しているGoogle AI Overviewに対して比較クエリを102件投げ、16組のブランド、両方の語順、各2〜3回の繰り返しを実行し、すべての回答と引用元を保存しました。

結果はこうです。語順で推薦が変わった組は16組中ゼロ。クエリで先に書いたブランドが回答でも先に名前が出た割合は49%で、これはコイントスと同じです。実際に回答を変えたのは、クエリの言い回しと、どのGoogle面が回答するかでした。

広まった説の内容

今月出回っている版は、おおよそ次のとおりです。

  • 「ブランドA vs ブランドB」のAI Overviewは、およそ80%の確率でブランドAを先に挙げ、推薦する。
  • 「ブランドB vs ブランドA」はその鏡像になる。
  • ブランドAがブランドBよりはるかに大きく古い場合でも、これは成り立つ。
  • 提唱されている仕組みはこうです。AI Overviewはクエリを複数のサブ検索に展開し、クエリで最初に書かれたブランドがそのサブ検索を方向づける。

最後の点がこの説を説得力あるものにしています。そして、最も裏付けが取れている部分でもあります。

仕組みは実在する。だからこの説は広まる

Googleが2026年5月に公開した生成AI機能向けのガイドラインは、クエリ・ファンアウトを認めています。AI OverviewとAI Modeは1つのクエリを関連する複数のサブクエリに展開し、インデックスに対して並列に実行し、その結果を統合して1つの回答を合成できる、というものです。サブクエリが何だったかは、Search Consoleを含め、どこにも報告されません。つまりAI Overviewを見ているとき、あなたは観察できない工程の出力を見ていることになります。

言語モデルの順序効果も実在し、査読付きの研究があります。2026年8月にPNAS Nexusに掲載された研究は9つのモデルを履歴書の比較と色の選択で検証し、位置効果が単なる引き分けの解消ではないことを示しました。場合によっては選択肢の順序を入れ替えるとモデルの選好そのものが反転し、より劣る選択肢を選んでしまうのです。Columbia Business Schoolの研究では逆方向の関連パターンが見つかっており、ChatGPTは5,447件のプロンプトで約63%の確率でリストの最初の選択肢を選び、より単純な設定の64,800回の試行でも64.29%で同じ結果が再現されました。

この2つを並べて読むと、あの説は自然な次の一歩に見えます。ファンアウトは存在する。LLMには順序の癖がある。ならば語順がブランド推薦を決めているはずだ、と。

飛躍があるのは、その最後の一歩です。これらの実験はモデルに選択肢のリストを評価させ、1つを選ばせる課題です。AI Overviewの比較クエリは、その課題ではありません。第三者のページに根拠を置く検索システムが答える、統合型のリクエストです。だからこそ、この説は繰り返すのではなく検証する価値がありました。

検証の設計

クエリ

Google AI Overviewに対して102件、加えてAI Modeに18件

ブランドの組

16組(ソフトウェア10組、消費者向け6組)

語順

両方。各語順につき2〜3回の繰り返し

言い回し

全組でX vs Y、加えて3組でwhich is better, X or Y

Google検索、米国、英語、デスクトップ

日付

2026年9月11日(単日)

取得方法

SERP APIの応答。1リクエスト1クエリで、AI Overviewの全文要素と引用リスト全体を保存

コスト

APIクレジットにして約0.43ドル

設計上の判断で重要な点が2つあります。1つ目は、各クエリを2〜3回実行したことです。ランダム性が少しでもある系に対して、1回だけ反転した回答は何の証拠にもなりません。2つ目は、回答が何を言ったかだけでなく、どう組み立てられたかを記録したことです。どちらのブランドが先に名前を出されるか、それぞれ何回言及されるか、引用ページがどうなっているか、引用のうち何件が各ブランドの自社ドメインを指すかを見ました。

16組は2つの状況をまたぐように選びました。どちらも調査対象になるエンティティであるソフトウェア比較(Notion vs Asana、Slack vs Microsoft Teams、Semrush vs Ahrefs、Figma vs Sketch)と、大きい方のブランドが明白な消費者向け比較(Nike vs Adidas、Coca-Cola vs Pepsi、iPhone vs Samsung Galaxy、Netflix vs Disney+、Toyota vs Honda、iRobot Roomba vs Roborock)です。

結果1:回答は語順に従わなかった

明確に測定できた初出を返した100回の実行のうち、クエリで先に書いたブランドが先に名前を出されたのは49回、49%でした。

「A vs B」で先に出たブランド

「B vs A」で先に出たブランド

語順で変わったか

Notion vs Asana

Asana

Asana

いいえ

Slack vs Microsoft Teams

Microsoft Teams

Microsoft Teams

いいえ

Wix vs Squarespace

Wix

Wix

いいえ

Canva vs Adobe Express

Canva

Canva

いいえ

Mailchimp vs Klaviyo

Klaviyo

Klaviyo

いいえ

Airtable vs Monday.com

Monday.com

Monday.com

いいえ

Shopify vs WooCommerce

Shopify

Shopify

いいえ

Semrush vs Ahrefs

Semrush

Semrush

いいえ

Figma vs Sketch

Figma

Figma

いいえ

Zoom vs Google Meet

Google Meet

Google Meet

いいえ

Nike vs Adidas

Nike

Nike

いいえ

Coca-Cola vs Pepsi

Coca-Cola

Coca-Cola

いいえ

iPhone vs Samsung Galaxy

Samsung Galaxy

Samsung Galaxy

いいえ

Netflix vs Disney+

Netflix

Netflix

いいえ

Toyota vs Honda

Toyota

Toyota

いいえ

iRobot Roomba vs Roborock

Roborock

Roborock

いいえ

多数派が反転した組は1つもありません。回答が選好を持ったとき、それは両方の語順で保たれました。AI Overviewは「Notion vs Asana」でも「Asana vs Notion」でもAsanaで書き出し、Airtableの比較では両方でMonday.com、Zoomの比較では両方でGoogle Meetでした。NikeはAdidasに対して両方の語順で先に出て、Samsung GalaxyはiPhoneに対して両方で先に出ました。

繰り返し実行の一致は100回中93回でした。7件の例外のうち6件は、別の言い回しで回した1つの組から出ています。これが実は本題です。残る1件はSlack vs Microsoft Teamsの1回で、TeamsではなくSlackで書き出しました。次の2回はTeamsに戻っています。

この測定で決着しないことが1つあります。回答の先頭に来ることと、推薦されることは同じではありません。そこで推薦の言葉も数えました。ソフトウェア比較60回の全実行で、勝利系の語(wins、better choice、recommend、stronger、go-to)を含む文は、クエリ先頭ブランドが40、後方ブランドが39。完全な互角でした。

16組のブランド比較すべてで語順を変えても先に名前が出るブランドは変わらなかったことを示す図

結果2:2つの回答はたいてい同じ回答だった

もし語順がサブ検索を方向づけているなら、同じクエリの2つの版は別々のページを取得し、回答は分岐するはずです。ほとんど分岐しませんでした。

ソフトウェア10組のうち8組で、「A vs B」と「B vs A」のAI Overviewは一言一句同じでした。Semrush vs Ahrefsの書き出しを両方の語順で並べます。

Semrushはオールインワンのマーケティングプラットフォームで、AhrefsはSEOと被リンク分析に特化したツールです。(回答原文は英語。以下同様)

同じ文、同じ事実の並び順、同じ「Semrushを選ぶなら…/Ahrefsを選ぶなら…」の締め方で、クエリがどちらのブランドから始まっていても変わりません。実際に文章がずれたのは2組だけでした。Slack vs Microsoft Teamsと、Shopify vs WooCommerceです。Shopifyの場合は、結論ではなく書き出しの段落の言い回しが違うだけでした。

裏付けとなる数字も同じ方向を指します。ソフトウェア比較の実行で得た806件の引用エントリのうち、2つのブランドの自社ドメインへの引用は36対36。両方のブランド名を含む引用ページのタイトルで、クエリ先頭ブランドが先に来たのは392件、後方ブランドが先だったのは396件で、49.7%。これもコイントスです。ブランド名の総言及数は337対336、つまり50.1%対49.9%でした。

クエリの先頭に書かれたブランドによって検索が誘導されている系なら、36対36の引用比率も、一言一句同じ文章も出てきません。

実際に回答を変えたもの

実際に変えたのは2つで、どちらも語順より役に立ちます。

言い回し。 3組について、「vs」のクエリとwhich is better, X or Yのクエリを両方の語順で回しました。AI Overviewはこれらを別の質問として扱い、しかも両方の語順で同じように振る舞いました。

ShopifyとWooCommerceでは、Shopify vs WooCommerceは製品説明から始まりました。Shopifyはオールインワンのホスト型ストア構築ツールであり、違いを順にたどる回答です。which is better, Shopify or WooCommerceは順位づけを拒否する書き出しでした。どちらが客観的に優れているということはなく、ニーズ次第だ、というものです。同じ4回の実行、同じ組、同じ日で、第一印象が正反対でした。駆動したのは位置ではなく言い回しです。

SemrushとAhrefsでは、which is betterの回答に明示的な判定文が含まれ、そのすべてがAhrefsを評価していました。5回中5回で、クエリがSemrush or AhrefsでもAhrefs or Semrushでも同じです。根底にある比較の言説がAhrefsをバックリンク分析に強いツールとして扱っているという事実の前では、語順は無関係でした。

面。 同じクエリのうち18件を、会話型の面であるGoogle AI Modeでも実行しました。その挙動はAI Overviewとは異なり、順序に敏感に見えるものの、そうではありません。Semrush vs Ahrefsでは、AI Modeはクエリの語順に応じてBoth Semrush and Ahrefs are…またはBoth Ahrefs and Semrush are…で書き出し、語順をなぞりました。しかも選ばれた型に注目してください。Both X and Yであり、順位の含意がまったくない構文です。先頭に来る名前はプロンプトの文体上の反響にすぎません。

その反響の下で、AI Modeの内容はAI Overviewよりはるかに不安定でした。同じ語順内での実行間テキスト類似度は0.30〜0.36しかなく、語順をまたぐと0.38でした。AI Overviewはほとんどの組で同一のテキストを返していたのと対照的です。3組のうち2組では、AI Modeの回答は語順をまたいで完全に同一でした。Shopifyの場合は、AI Modeが両方の語順で書き出しをWooCommerceに固定し、AI Overviewは両方でShopifyに固定しました。面ごとに定着した言い回しの癖があり、それは同じ癖ではありません。

同じブランド比較でもクエリの言い回しが変わるとAI Overviewの書き出しが正反対になることを示す比較図

語順の話が完全な作り話ではない理由

語順で動いた測定が1つあり、それは多くの人が実際に追いかけている指標です。従来の検索結果一覧です。

ソフトウェア10組のうち5組で、上位3件の従来のオーガニック結果が「A vs B」と「B vs A」で異なりました。AI Overviewが両方の語順で同一だった組も含みます。Redditはほとんどのソフトウェア比較で上位に入り、どのスレッドが出るかは言い回しで変わりました。つまり、比較クエリに対するGoogle検索には実際に順序への感度があります。それが宿るのはAI回答の下の層であり、推薦そのものではありません。この区別こそが今回の検証を走らせた理由であり、想定していなかった発見でもあります。

この区別はレポートにも効きます。もし順位トラッカーでブランド系と非ブランド系の比較クエリの間で順位が揺れているなら、それは実在する効果です。ただし、広まっている説が説明している効果ではなく、そこを最適化してもAI Overviewがあなたについて語る内容は変わりません。

データが指す本当のレバー

私たちの実行で最も明確なシグナルは、クエリの作り方とは無関係でした。各回答が組み立てられた比較の言説そのものです。

Airtable vs Monday.comでは、引用元にMonday.comの自社ページが18件、Airtableの自社ページはゼロでした。両方の語順で同じです。Mailchimp vs KlaviyoではMailchimpが6件、Klaviyoはゼロ。Shopify vs WooCommerceではWooCommerceが3件、Shopifyはゼロでした。一方で、どちらのブランドの自社ドメインも一切出てこない組も多く、その場合の回答は第三者の比較記事、レビューサイト、フォーラムのスレッドから組み立てられていました。

このパターンは検索の実際の働きと整合します。モデルはあなたがどちらの名前を先に打ったかを気にしていません。どのページが存在し、各ブランドをどう説明しているかを気にしています。ブランドが比較コンテンツを自前で持っていれば、そのページが引き込まれます。持っていなければ、誰が尋ねても回答から抜け落ちます。

自分で語順反転テストを回す方法

15分で、APIも不要です。

  1. 自分のブランドと実際の競合が名を連ねる比較クエリを5つ選ぶ。
  2. それぞれを両方の語順で、各語順2回ずつ実行する。1組あたり4つの回答、合計10組の回答ペアになります。
  3. 読む前に回答を保存する。全文と引用元をスクリーンショットするかコピーします。
  4. 2つを分けて比較する。どちらのブランドが先に名前を出されたかと、回答が各ブランドについて何を言ったか。私たちが興味深いシグナルを見つけたのは、語順が安定し、内容がそうではなかった場所です。
  5. 文章だけでなく引用リストを見る。競合の自社ドメインが繰り返し現れ、自分のドメインが現れないなら、本当のボトルネックが見つかっています。

AI Overview Citation Checker は、あるクエリに対してAI Overviewがどのページを引用しているかを表示します。自分のドメインが引用プールに入っているかどうかを最短で確認する方法です。

結論を出す前に、少なくとも2回、別の日に実施してください。私たち自身の実行間一致率は100%ではなく93%で、1回だけ反転した実行は、そのまま自信満々のブログ記事になってしまう類のノイズです。

この結果をどう使うか

語順を軸に比較ページを作り直すのはやめてください。AI Overviewの推薦を変えるという証拠はなく、仮にGoogleが将来重みづけしたとしても、修正は一語の入れ替えで済み、あなたの実際の立ち位置については何も教えてくれません。

言い回しは本物の変数として扱ってください。X vs Ywhich is better, X or Yは別のクエリで、別の回答を生みます。買い手が質問文の形で比較するなら、仕様の比較表ではなく、その問いに答えるコンテンツが必要です。

気にしている比較の引用に自分のブランドのページが出ているかを確認してください。今回見た18対0の差はこのデータセットで最も実行可能な数字であり、プロンプトの文言ではなく出版の話です。

先出し指標がすでにあるなら、それは回答が何を言っているかの記述として保ち、引けるレバーとして扱わないでください。私たちのデータでは、クエリではなく言説に従うコイントスでした。

限界

これは1日、1つの地域と言語、デスクトップ、ブラウザセッションではなくSERP APIで取得した、16組のブランド比較のデータです。検索結果はパーソナライズ、時間、デバイスで変わり、単日では将来の変化を排除できません。

測定したのは、どちらのブランドが先に名前を出されるか、どれだけ言及されるか、どの出典が引用されるかです。いずれも読者にとっての説得力の直接的な測定ではなく、あなたのブランドを先に挙げた回答が、もう一方が勝っているという印象を残すこともあります。

AI Modeのサンプルは3組18クエリで、面が異なる振る舞いをするのを見るには足りますが、数値化するには足りません。あの節は方向性として読んでください。割合としてではなく。

最後に、元の説の仕組みに関する主張は、外からは検証不能のままです。Googleはファンアウトが起きると認めていますが、サブクエリを公開していないため、あなたのクエリがどのサブクエリを生んだかを示すことは誰にもできません。私たちの検証は、語順を入れ替えても出力が変わらなかったことを示せます。その理由を示すことはできません。

FAQ

Googleのクエリの語順はAI Overviewに影響しますか?私たちの検証では影響しませんでした。16組のブランドを両方の語順でカバーする102件のAI Overviewクエリで、クエリ先頭ブランドが先に名前を出された割合は49%で、語順を逆にしても回答の向きが変わった組はありませんでした。ソフトウェア10組のうち8組は、両方の語順で一言一句同じ回答を返しました。

なぜ語順がAIの推薦に影響するという報告があるのですか?言語モデルにリストから1つを選ばせる課題では順序効果が文書化されており、公表された研究では最初の選択肢が約63%の確率で選ばれます。またGoogleのクエリ・ファンアウトは検索過程を不可視にします。どちらも事実です。しかし、どちらもAI Overviewの比較クエリで名前の順序を入れ替えるとブランドが入れ替わることを意味しません。

AI Overviewの比較クエリで実際に変わるのは何ですか?言い回しと面です。Shopify vs WooCommerceは両方の語順で製品主導の回答を返し、which is better, Shopify or WooCommerceは両方の語順で「どちらが客観的に優れているわけではない」という回答を返しました。同じクエリをAI Modeで回すと、また別の枠組みで返り、実行間のばらつきもはるかに大きくなります。

AI Overviewの先出しを狙って最適化する価値はありますか?見るのは有益ですが、最適化の対象にはしないでください。私たちのデータでは、先出しはクエリ側で操作できるものではなく、出典の言説に従っていました。操作できる変数は、自分の比較ページが引用プールに入っているかどうかです。検証したある組では、競合の自社ページが18件引用され、もう一方のブランドはゼロでした。

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著者: Ethan Marlowe(Auspia にて500以上のプロンプトを横断するGEO測定リード)。AI可視性の測定、プロンプトセットの設計、二度見に耐えるテストの作り方について書いています。

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